歯周病治療

歯周病治療

歯周病とは?

歯周病

歯周病は、むし歯よりも歯を失うリスクが高いにも関わらず、30歳以上の成人の80%が歯周病に罹患しているという結果が出ています。
むし歯の治療行なう際にも、歯周病に罹患していると、歯ぐきからの出血や浸出液が詰め物が固まるのを阻害し、単純な治療でさえも上手くいかないことがあります。
もちろん、矯正歯科治療やインプラントといった、より難易度の高い治療の妨げにもなりますので、歯周病は非常に憂慮すべき問題です。

喫煙関連歯周炎

そして、喫煙は歯周病の最大の環境リスクファクターです。
日本歯周病学会では、「喫煙関連歯周炎」という定義が存在しているほどです。
特徴として、

  1. 喫煙者は歯周病の罹患率が高く、経時的に歯周炎が進行しやすい。
  2. ブラーク付着量や細菌の数が非喫煙者と同程度であっても、喫煙者では歯周組織の破壊が促進される。
  3. 歯肉溝浸出液の減少や歯肉のメラニン色素沈着が見られるため、歯周組織の炎症症状が分かりにくく、喫煙歯周病患者自身の病気に対する自覚が低い。

また、歯周病はさまざまな病気に関連することが知られています。
歯周病菌が産生する毒素は、直接血管内に入り込むことによって、全身へ飛び散って行くのです。
以下に、主要な全身疾患と歯周病の関連について記載いたします。
(「オーラルヘルスと全身の健康 2011年改訂版」「口に潜む恐怖のバイキン集団」より引用)

オーラルヘルスと全身の健康
メタボリックシンドローム(糖尿病・肥満・高血圧・高脂血症)

歯周ポケット内で産生される毒素は、直接血管内に入り込み、白血球などに取り込まれて体内へ侵入していきます。
白血球は脂肪組織に結合することによって、糖を燃焼させるインスリンが働くことができなくなりますので、血液中の糖が増加し、糖尿病を引き起こします。
また、毒素は肝臓でのエネルギー消費を邪魔するので、肥満の原因となります。

脳血管疾患・心臓疾患

歯周ポケット内に住んでいる細菌は、運動しながら血管の中に入り込みます。
細菌を食べてくれるマクロファージは、歯周病菌を食べ続けることによって血管の壁にへばりついて死んでしまいます。
この沈着物が血液の流れを阻害して心筋梗塞を発症させたり、はがれた沈着物が脳の動脈を詰まらせて脳梗塞を引き起こします。

骨粗鬆症

歯周ポケット内で産生される毒素は、歯を支える骨を吸収させてしまいます。
しかしながら、血管内に入り込んでしまった毒素は、血液に乗って全身の骨もボロボロに溶かしてしまいます。
先に骨粗鬆症になってしまった場合でも、歯を支える骨が吸収してしまいますので、歯周病が非常に進みやすくなります。

誤嚥性肺炎

お年寄りや寝たきりの高齢者では、嚥下反射(唾をゴクっと飲み込む)や咳反射(気管支や肺に入り込みそうな液体を、咳をして排除すること)が弱っています。
そのような状況では、横になって休んでいる時や睡眠中など、気づかないうちに歯周病菌が気管支や肺に入り込み、誤嚥から肺炎を引き起こします。

ピロリ菌感染胃疾患

歯周ポケット内に住んでいる細菌は、ピロリ菌の悪友です。
胃のなかでは、ピロリ菌を排除しようとする免疫反応が起こりますが、歯周病菌とピロリ菌は非常に似ているので、胃の免疫反応は2つの菌の区別ができなくなり、胃の粘膜にアレルギー反応を引き起こしてしまいます。

妊娠トラブル

妊娠し、胎盤が作られると、様々なホルモンが体内を流れます。
歯周病菌はこれらのホルモンを利用して爆発的に増加することがあります。
急激に増加した歯周病菌が産生する毒素が胎盤を通過すると、早産や未熟児出産などのリスクを増加させます。

関節炎・腎炎

歯周ポケット内で産生される毒素は、直接血管内に入り込み、腎臓に溜まるとアレルギーを引き起こし、結果として腎炎を発症させます。
また、関節内に溜まると関節炎を引き起こします。

皮膚疾患

歯周ポケット内に住んでいる細菌は、熱ショックタンパク質を産生します。
このタンパク質が皮膚炎を発症させることが分かってきました。

歯周病の治療とは?

歯周病の原因は歯周病特有の細菌によるバイオフィルム感染症です。
バイオフィルムとは、複数の細菌がテントを張って共同生活をしている状態を指し、台所やお風呂場の排水溝の「ぬめり」もバイオフィルムです。
歯周病細菌が存在する部位を検査して、バイオフィルムを徹底的に除去するのが基本的な治療です。

1. 初診歯周組織検査
① レントゲン写真
レントゲン写真(パノラマ写真) レントゲン写真(デンタル写真14枚法)

パノラマ写真およびデンタル写真14枚法により、骨の状態や歯の根の形態などの診査を行ないます。

② 歯茎の検査
歯茎の溝の深さの測定(イラスト) 歯茎の溝の深さの測定(写真)

次に、レントゲン写真を参考にしながら、特殊な器具を使用して歯茎の溝の深さを測定することで、歯周病の重症度を判断します。
20gf程度の優しい力で歯ぐきの中を診査しますので、痛みはありません。

③ 口腔内写真
口腔内写真

歯ぐきの血色や歯の状態など、また、治療前後の比較などにも使用するため、口腔内写真を撮影します。

④ 位相差顕微鏡による細菌量と種類の判別
位相差顕微鏡による細菌量と種類の判別(32歳男性) 位相差顕微鏡による細菌量と種類の判別(74歳女性)

ポケット内細菌を顕微鏡で実際に確認することにより、重症度・使用する薬剤・再発リスクなどを判断します。

2. コンサルテーション

担当衛生士もしくは主治医より、検査結果をもとに現状と今後の治療計画の説明を行ないます。
患者さんのご希望に沿いながら、円滑に歯周病治療を進めるためのご相談をさせていただきます。

3. スケーリング・ルートプレーニング
スケーリング・ルートプレーニング

歯石や歯茎の中に存在する細菌を専用の器具で除去します。
重症度にあわせて治療回数は変動します。最大の目的は、歯石の除去と歯根面の滑沢化です。

4. 歯周組織の再評価

初診歯周組織検査と同じ内容の検査を再度行ないます。
再評価により、歯周病が治っていて、患者さんご自身のセルフコントロールが可能であると判断できれば、メインテナンス期間へと移行します。
十分に治癒していない場合(一つの基準として、歯周ポケットが5mm以上残っている場合)は、以下の治療へと継続します。

5. 歯周外科処置

これまでの処置で取りきれていない細菌を確実に除去するために、再度、患者さんとのコンサルテーションを実施した上で、以下の外科的な処置を行なうことがあります。

  1. 歯石を直視下で除去するための歯肉剥離掻爬術
  2. 歯槽骨の整形や削除術
  3. 付着歯肉を造成するための根尖側歯肉移動術
  4. 遊離歯肉移植術
  5. 歯槽骨再生療法
6. 歯周組織の再・再評価

再度、初診歯周組織検査と同じ資料を採取し、これまでの検査結果との比較を行ないます。

7. メインテナンス

歯周病が治癒したことを確認した上で、患者さんご自身のセルフコントロールを中心としたメインテナンス期間へと移行します。
再発しないよう、3か月に1回程度の定期検診が必ず必要です。

上記の治療順序で実際に行なった歯周治療の結果をお示しします。
初診時と治療終了時の歯ぐきの検査結果です。

初診時
初診時の歯ぐきの検査結果

出血(赤色)の部位が多く、深い歯周ポケット(青色)が多数認められます。
また、上の前歯と右上の奥歯では膿(黄色)が出ています。
健全な歯肉溝の深さは2~3mmですが、4~7mmの深いポケットが多数ありました。

再評価時
治歯周療終了時の歯ぐきの検査結果

出血(赤色)の部位が減少し、深い歯周ポケット(青色)は右側の上下の一番後ろの歯に限局し、大幅に改善しました。
膿(黄色)が出ている部位はなくなりました。

この患者さんの場合、深い歯周ポケットが残っている原因は、右側の上下に親知らずが斜めに生えていることでした。
この後、親知らずの抜歯を行ない、原因を除去しました。
現在はメインテナンスへと移行しており、歯周組織は良好な状態を保っています。

診療時間 予約済の患者様向け 当日の来院受付はこちら 歯のはなし 参加者募集中 親子でできる歯磨き体験 医療費控除をご存知ですか? 日経CNBC「時代のNEW WAVE」 大谷歯科矯正歯科 Instagram 大谷歯科矯正歯科 院長 Instagram
UID一級建築士事務所 萩野寿也景観設計